薄毛治療を検討する際は「保険は使えるのか」「皮膚科なら安く治療できるのではないか」「治療費がどれくらいかかるのか」といった不安や疑問を感じる人は多い。
特に、保険適用の可否については情報が錯綜しており、誤解したまま受診してしまうケースも少なくない。
この記事では、薄毛治療における保険適用の基本的な考え方を整理したうえで、保険が使える薄毛の例、自由診療となる場合の費用感、保険適用外でも治療費を抑えるための考え方について解説する。制度を正しく理解し、自分に合った選択をするための判断材料として役立ててほしい。

この記事の監修者
奥山歩美 医師
あゆみ皮膚科クリニック院長
兵庫医科大学医学部卒業後、兵庫医科大学病院、市立伊丹病院や美容クリニックなどで経験を積み、2017年に大阪市平野区に「あゆみ皮膚科クリニック」を開院。一般皮膚科と美容皮膚科の知見を活かし、皮膚に関する幅広い悩みに寄り添った治療を行なっている。
また、美容皮膚科では、肌本来の力を引き出す治療を大切にし、ドクターズコスメを活用したスキンケア指導にも力を注いでいる。美容オンライン診療にも対応し、全国の患者様の健やかで美しい肌づくりをサポートしている。当院でも、皮膚科における脱毛症の診断・治療および、AGAなどの自由診療による薄毛治療を行っています。お気軽にご相談ください。
所属
あゆみ皮膚科クリニック
資格・所属学会
・日本皮膚科学会
・日本美容皮膚科学会
・日本抗加齢学会
※本記事で紹介するサービス・商品は、監修医師が特定の提供元を推奨・選定したものではありません。医師監修は、一般的な医学情報の確認を目的としています。
この記事の監修者

奥山歩美 医師
あゆみ皮膚科クリニック院長
兵庫医科大学医学部卒業後、兵庫医科大学病院、市立伊丹病院や美容クリニックなどで経験を積み、2017年に大阪市平野区に「あゆみ皮膚科クリニック」を開院。一般皮膚科と美容皮膚科の知見を活かし、皮膚に関する幅広い悩みに寄り添った治療を行なっている。
また、美容皮膚科では、肌本来の力を引き出す治療を大切にし、ドクターズコスメを活用したスキンケア指導にも力を注いでいる。美容オンライン診療にも対応し、全国の患者様の健やかで美しい肌づくりをサポートしている。当院でも、皮膚科における脱毛症の診断・治療および、AGAなどの自由診療による薄毛治療を行っています。お気軽にご相談ください。
所属
あゆみ皮膚科クリニック
資格・所属学会
・日本皮膚科学会
・日本美容皮膚科学会
・日本抗加齢学会
※本記事で紹介するサービス・商品は、監修医師が特定の提供元を推奨・選定したものではありません。※医師監修:クリニックフォアの取り扱い薬と特徴の比較
薄毛治療の多くは保険適用ではなく自由診療

医療行為が健康保険の対象となるかどうかは、その治療が病気や外傷による機能回復を目的とした「疾病治療」なのか、それとも見た目の改善を目的とした「審美目的」なのかによって判断される。
保険診療はあくまで、日常生活に支障をきたす疾病や外傷を治療するための制度であり、外見上の変化や美容上の悩みを改善する目的の医療行為は、原則として対象外だ。薄毛治療の保険適用について詳しく見ていこう。
AGA治療は基本的に健康保険の対象外となる
AGA(男性型脱毛症)は、加齢や体質、ホルモンの影響によって進行する脱毛症であり、生命や身体機能に直接的な支障を及ぼす疾病とは位置づけられていない。
そのため、発毛や薄毛の進行抑制を目的としたAGA治療は、健康保険が適用されない自由診療として扱われるのが原則だ。内服薬や外用薬を用いた治療であっても、AGAを対象とする限り保険診療にはならない。
皮膚科で受けてもAGA治療が保険適用になるわけではない
「皮膚科で診察を受ければ保険が使えるのではないか」と誤解されることが多いが、診療科目によって保険適用が決まるわけではない。
皮膚科であっても、AGAと診断された場合の治療は自由診療となる。一方で、円形脱毛症や皮膚疾患など、医学的に疾病と認められる脱毛症であれば、同じ皮膚科でも保険診療の対象となる。この違いを正しく理解しておくことが重要だ。
保険診療と自由診療を同時に行う「混合診療」は原則不可
同一の診療行為や同一の傷病に対して、保険診療と自由診療を同時に行うこと(混合診療)は原則として認められていない。
たとえば、AGA治療を自由診療で行いながら、同じ診察内で関連する治療を保険で行うことは基本的にできない。先進医療など一部の例外制度は存在するものの、AGA治療においては該当しないケースがほとんどであり、原則として自由診療のみの治療であると考えるべきだ。
薄毛治療が保険適用になるケースとは?
薄毛治療が健康保険の対象となるかどうかは、「薄毛かどうか」ではなく、医学的に疾病と診断されるかどうかで判断される。
AGAのように体質や加齢に起因する脱毛は保険適用外となる一方、自己免疫異常や炎症、感染症などが原因の脱毛症は、疾病として扱われ、保険適用となる可能性がある。したがって、保険適用の可否は見た目や自己判断ではなく、医師による診断名ベースで決まる点を理解しておく必要がある。
脱毛症のタイプ別に、保険適用の目安と治療の考え方を解説する。
| 脱毛のタイプ | 保険適用の目安 | 受診先 | 主な治療の方向性 | 注意点(混合診療・保険外治療) |
|---|---|---|---|---|
| AGA (男性型脱毛症) | 原則不可 | 皮膚科 AGA専門クリニック | 内服薬・外用薬による進行抑制 | すべて自由診療 保険治療と併用不可 |
| 円形脱毛症 | 可能 | 皮膚科 | ステロイド外用・局所注射など | 発毛治療は保険範囲内に限定される |
| 炎症性脱毛症 (脂漏性皮膚炎など) | 可能 | 皮膚科 | 原因疾患の治療が中心 | 発毛促進目的の治療は保険適用外 |
| 感染症による脱毛 | 可能 | 皮膚科 | 抗菌・抗真菌治療 | 見た目改善目的は保険適用外 |
| 薬剤性・外傷性脱毛 | ケースによる | 皮膚科 | 原因除去・経過観察 | 美容目的治療は保険適用外 |
保険適用になり得る脱毛症の例

健康保険が適用される可能性がある脱毛症は、医学的に「疾病」と診断されるものに限られる。代表的な診断名は以下のとおりだ。
円形脱毛症
自己免疫の異常が関与すると考えられる脱毛症であり、皮膚科では保険診療の対象となる。単発型・多発型・全頭型など重症度を問わず保険診療の範囲に入る可能性はあるが、実際に行える治療は病状や保険適用の条件によって一部制限される場合がある。
脂漏性脱毛症(脂漏性皮膚炎に伴う脱毛)
頭皮の炎症が原因となる脱毛症で、原因疾患である脂漏性皮膚炎の治療は保険適用となる。
接触皮膚炎・アトピー性皮膚炎に伴う脱毛
かゆみや炎症による掻破が原因で生じる脱毛であり、基礎疾患の接触皮膚炎・アトピー性皮膚炎の治療は保険診療の対象となる。
感染症による脱毛(頭部白癬など)
真菌や細菌感染が原因の脱毛で、感染症の治療として扱われるため保険適用となる。
瘢痕性脱毛症(外傷・熱傷・手術後など)
事故や外傷、医療行為後に生じた脱毛で、原因疾患の治療や経過観察は保険適用となる場合がある。
びまん性脱毛症(原因疾患が明確な場合)
貧血、甲状腺疾患、薬剤性など、原因となる疾病が特定されている場合は、その基礎疾患の治療として保険診療が行われる可能性がある。
- 参考:徳島県医師会「脱毛症」
保険適用であっても薄毛治療の選択肢は限定される点に注意が必要
保険適用となる脱毛症であっても、治療内容は原因疾患の改善に必要な範囲に限定される。
たとえば円形脱毛症の場合、炎症を抑える治療や免疫反応を調整する治療は保険対象となるが、「より早く発毛させたい」「毛量を増やしたい」といった目的の治療は保険外となることが多い。「保険が使える=すべての薄毛治療が受けられる」というわけではない点に注意が必要だ。
薄毛治療の保険適用を判断するための受診の流れ

薄毛治療が保険適用になるかを確認するには、いくつかのポイントを押さえて受診する必要がある。
皮膚科で脱毛症の診断名を確定させる
薄毛治療が保険診療の対象になるかを判断するには、最初に皮膚科を受診し、脱毛が疾病として治療の対象となるものかどうかを医師に診断してもらうことが重要だ。皮膚科では、体質や加齢による薄毛なのか、病気が原因の脱毛なのかを鑑別したうえで、保険が適用できるかどうかを判断する。
健康保険で算定できる治療内容を確認する
診断名が確定したら、次に確認すべきはどの治療までが保険診療の対象となるかだ。保険適用となる脱毛症であっても、原因疾患の改善に必要な治療に限られ、発毛を目的とした治療や見た目の改善を目的とする治療は含まれないことが多い。
保険診療で行える治療内容を把握することが重要だ。
自由診療の治療内容と費用もあわせて比較する
保険診療だけでは十分な効果が見込めない場合、自由診療による治療を提案されることがある。その際は、保険診療とは別枠の治療であることを確認したうえで、内容や費用を比較検討することが重要だ。
保険診療と自由診療を同時に行う混合診療は原則として認められていないため、治療の区分を理解したうえで、自身にとって納得できるプランを選択する必要がある。
薄毛治療の費用相場(保険適用外・自由診療)

薄毛治療が自由診療となる場合、治療を始める前に把握しておきたいのが治療方法ごとの費用相場だ。自由診療は価格が一律に定められておらず、選択する治療内容や通院期間、クリニックごとの料金設定によって総額に大きな差が生じやすい。
投薬治療・注入治療・自毛植毛といった代表的な薄毛治療について、月額・1回あたり・総額の目安を整理し、費用を比較・検討する際の目安を解説する。
| 治療カテゴリ | 月額の目安 | 1回の費用の目安 | 総額の目安 |
|---|---|---|---|
| 投薬治療 (内服・外用) | 約1.5~3万円 | – | 年額18~36万円程度 |
| 注入治療 (メソセラピー等) | – | 約5~10万円 | 複数回で数十万~ |
| 自毛植毛 | – | – | 約50~200万円前後 |
| 初診料/検査費など | – | 約3,000~15,000円 | 別途発生 |
- 参考:DMMオンラインクリニック「男性AGA」
- 参考:レバクリ「AGA」
- 参考:クリニックフォア「AGA」
- 参考:AGAスキンクリニック
- 参考:ヒロクリニック
投薬治療の月額費用は薄毛治療の内容・薬剤で幅がある
投薬による薄毛治療では、内服薬・外用薬による治療が基本となる。クリニックや処方内容による差は大きいが、一般的な相場としては月額で約1.5万円~3万円程度が目安だ。複数の薬剤を併用する場合や高額プランを選ぶ場合はこれを上回ることもある。自由診療のため、薬の種類やクリニックによって価格設定が異なる点には注意が必要だ。
注入治療(メソセラピー)は1回ごとに数万円~十数万円を要する
育毛注射やメソセラピーといった注入治療の1回あたりの費用は、数万円~十数万円程度が一般的だ。治療は1回で完結するものではなく、複数回通院が必要となることが多く、通う回数が増えるほど総額は大きくなる傾向にある。施術内容や薬剤の種類によっても価格差があるため、コース料金や回数割引の有無を確認して総額を検討することが重要だ。
自毛植毛はグラフト単価×植毛本数で総額が決まる
自毛植毛は、移植する株(グラフト)数や施術方法によって費用が大きく変わる。基本料金+グラフト単価という形が一般的で、1,000株程度の植毛であればおよそ数十万円〜100万円台前半、2,000株以上になると100万円〜200万円前後だ。クリニックによって単価が異なるため、希望する植毛本数に応じた見積もりを取ることが重要だ。
初診料・検査費などの「初期費用」は別途かかる
自由診療の薄毛治療では、治療本体の費用とは別に初診料や検査費などの初期費用が発生することが一般的だ。
初診料は3,000円~5,000円程度、血液検査やその他検査は5,000円~15,000円程度が相場とされるが、クリニックによって無料にしている場合や、治療開始後の検査料を含めない料金設定にしている場合もあるため、事前に確認するとよい。※費用はあくまで目安であり、治療内容・地域・医療機関によって大きく異なる。
保険適用されない薄毛治療で費用を抑えるコツ

薄毛治療の多くは健康保険が適用されない自由診療で、治療内容や期間によっては費用が大きな負担になることもある。一方で、治療の始め方や薬の選び方、制度の正しい理解によって、無理のない範囲で費用を抑えることは十分可能だ。
保険適用外となる薄毛治療において、治療効果を維持しながら出費を抑えるために知っておきたい考え方や注意点を解説する。
薄毛治療は早めに始めるほど費用を抑えやすい
保険適用外となる薄毛治療では、治療を始めるタイミングが費用に影響を与える。進行初期であれば、使用する薬剤の種類や量が比較的少なく済み、症状が安定すれば「維持期」として治療内容を調整できる場合もある。一方、進行が進んでから治療を開始すると、治療期間が長期化し、結果として総額費用が高くなりやすい。費用面を重視するのであれば、状態が軽いうちに対策を始めることが重要だ。
ジェネリック医薬品やプラン比較で無駄な出費を避ける
自由診療の薄毛治療では、薬剤や治療プランによって費用差が生じる。先発医薬品ではなくジェネリック医薬品を選ぶことで、効果を維持しつつ費用を抑えられるケースも多い。また、月額料金だけで判断せず、診察料・検査費・薬代を含めた総額で比較することが重要だ。
薄毛治療は原則として医療費控除の対象外となる
薄毛治療の費用について、医療費控除の対象になると誤解されることが多いが、見た目の改善を目的とした治療費は、原則として医療費控除の対象外とされている。国税庁の見解でも、医療費控除は「治療を目的とした医療行為」に限定されており、美容目的や容姿の改善を目的とする支出は該当しない。
AGA治療をはじめとする薄毛治療は、「見た目改善目的」に該当すると判断されるケースが一般的だ。
医療費控除の可否は最終的に税務署に確認が必要
医療費控除の可否は個々の治療内容や診断状況によって判断が分かれる可能性がある。そのため、控除対象になるかどうかを自己判断するのではなく、最終的には所轄の税務署に確認することが望ましい。特に、疾病治療との関連性があると考えられる場合には、診断書や領収書をもとに税務署へ相談することで、不要なトラブルを避けることができる。
薄毛治療の保険適用の有無よりも、正しい判断軸を持つことが大事
薄毛治療は、すべてが健康保険の対象になるわけではなく、AGAをはじめ多くのケースでは自由診療となるのが実情だ。
一方で、円形脱毛症や炎症・感染症など、医学的に疾病と診断される脱毛症については、保険適用となる可能性がある。ただし、保険が使える場合でも治療内容は原因疾患の改善に限られ、発毛や見た目の改善を目的とした治療は対象外となる点には注意が必要だ。
また、保険適用外となる薄毛治療であっても、治療開始のタイミングや薬剤の選び方、プランの比較によって、費用負担を抑えることは可能だ。重要なのは、「保険が使えるかどうか」だけにとらわれるのではなく、診断名・治療内容・総額費用を理解したうえで、自分にとって納得できる選択をしよう。
薄毛治療の保険適用に関するよくある質問
薄毛治療について調べる中で、「保険は使えるのか」「皮膚科なら安く治療できるのではないか」「医療費控除の対象になるのか」といった疑問を抱く人は少なくない。しかし、薄毛治療における保険適用の考え方は分かりにくく、誤解された情報も多く見受けられる。
薄毛治療の保険適用に関して特に質問の多いポイントを取り上げ、わかりやすく解説する。
奥山歩美医師本記事は、薄毛治療における保険適用の考え方について、現行の医療保険制度および一般的な診療実態に基づいて整理されています。脱毛症の診断や治療内容は個々の病状によって異なるため、最終的な判断は医師の診察を受けたうえで行うことが重要です。
この記事の監修者


奥山歩美医師
あゆみ皮膚科クリニック院長
兵庫医科大学医学部卒業後、兵庫医科大学病院、市立伊丹病院や美容クリニックなどで経験を積み、2017年に大阪市平野区に「あゆみ皮膚科クリニック」を開院。一般皮膚科と美容皮膚科の知見を活かし、皮膚に関する幅広い悩みに寄り添った治療を行なっている。
また、美容皮膚科では、肌本来の力を引き出す治療を大切にし、ドクターズコスメを活用したスキンケア指導にも力を注いでいる。美容オンライン診療にも対応し、全国の患者様の健やかで美しい肌づくりをサポートしている。当院でも、皮膚科における脱毛症の診断・治療および、AGAなどの自由診療による薄毛治療を行っています。お気軽にご相談ください。
所属
あゆみ皮膚科クリニック
資格・所属学会
・日本皮膚科学会
・日本美容皮膚科学会
・日本抗加齢学会
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