|
【セミナー概要】 COPD患者の予後改善の秘訣は,併存症の早期診断・治療と増悪予防・軽減することであり,身体活動性の向上・維持に加え,安定期の患者には積極的に吸入薬である長時間作用型抗コリン薬 (LAMA)を使用するべきである.増悪抑制の点から効果が不十分であれば,同じく吸入薬である長時間作用型β2刺激薬 (LABA)との併用療法を検討する. 一方,喘息患者は,吸入ステロイド薬 (ICS)の登場以降,喘息死やコントロール不良患者の減少をもたらした.さらに近年,高用量ICSだけではコントロール不良な患者や*難治性喘息患者に対して,抗IgE抗体製剤,抗IL-5抗体製剤,抗IL-5受容体α鎖抗体製剤,抗IL-4受容体α鎖抗体製剤の4種類が使用できる. COPDおよび喘息の安定期治療においては,一般的にステップアップ方式がとられるが,最近ではICS, LABA, LAMAの合剤であるトリプル吸入薬が登場しており,治療開始早期からの良好なコントロールを得る目的で,ステップダウンを意識した治療法も選択肢の一つとなってきている. このように最新のCOPDおよび喘息診療においては,様々な臨床情報から病態(臨床病型やバイオマーカー)把握を行い,フェノタイプ,エンドタイプを意識して適切なタイミングで治療法を選択することが重要である.
*難治性喘息とは,コントロールに高用量ICSおよびLABAに加えてロイコトリエン受容体拮抗薬,テオフィリン徐放製剤,LAMA,経口ステロイド薬,抗IgE抗体の投与を要する喘息,またはこれらの治療でもコントロール不能な喘息であり,一般的に重症喘息とも呼ばれる.
| | 10:00-12:00 COPD 1.COPD患者の予後改善には増悪を予防・軽減することが最重要. 2.増悪を繰り返すCOPD患者に対する積極的なトリプル吸入薬の使用. 3.COPD患者の併存症の早期発見とコントロールが大切.
12:30-14:30 喘息 1.喘息治療において,なぜ今トリプル吸入薬なのか? (喘息の病態と薬剤作用点から考える) 2.トリプル吸入の早期治療介入(ステップダウン治療の可能性). 3.難治性喘息患者に対する抗体製剤の導入と有効性.
|
|
|
|  | ■講師 | 杉野圭史 先生 | | (一般財団法人慈山会医学研究所付属坪井病院呼吸器内科 間質性肺炎・肺線維症センター) |
|
| | | | <略歴> 99年3月 東邦大学医学部医学科卒業 同 付属大森病院にて研修 04年10月 国家公務員共済組合連合会虎の門病院 呼吸器内科に出向 07 年4月 東邦大学大学院医学研究科博士課程入学 11年 3月 東邦大学大学院医学研究科博士課程修了、博士 13年4月 イギリス(ロンドン)ロイヤルブロンプトン病院放射線科に留学 14年4月 東邦大学医学部医学科講師 17年4月 一般財団法人慈山会医学研究所付属 坪井病 院に出向 18年1月 同 間質性肺炎・肺線維症センター長 19年7月 同 呼吸器科部長兼間質性肺炎・肺線維 症センター長 20年7月 同 副院長
<専門分野・研究内容> 呼吸器一般,中でも間質性肺炎の診療. 特発性肺線維症の病態ならびに治療に関する研究. <資 格> 日本内科学会認定内科認定医・専門医 日本呼吸器学会呼吸器内科専門医,指導医,代議員 日本サルコイドーシス/肉芽腫性疾患学会評議員 気管支鏡専門医 日本感染症学会専門医 | |
|
| |
|
|
|