ハミルトン・ノーウッド分類とは?AGAの進行パターンと治療法について

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ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行度を把握する有効な基準である。

国際的に共通の指標で、M字・O字・U字の脱毛パターンと段階が整理され、治療判断に活用される。

AGAは進行性で自然回復は期待しにくく、部位による治療方針の差も大きくない点に注意が必要だ。まずは自分の進行段階を把握し、早期にDHT抑制を軸とした治療を検討してほしい。

この記事のポイント
  • ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行度を13段階で整理した国際的な指標である
  • M字型・O字型・U字型の脱毛パターンは、分類段階と一定の対応関係をもつ
  • AGAは進行性であり、早い段階でDHT抑制を軸とした治療を医師と相談することが望ましい
目次

ハミルトンノーウッド分類とは?

ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行度を13段階に分けて整理した指標であり、名称は分類の作成と改良に関わった2人の医師に由来する。もともとはアメリカの皮膚科医ハミルトン氏が男性型脱毛症の進行パターンを分類し、その後、ノーウッド氏が修正と再構成を行い、現在広く知られる形になった。医療現場では、患者と医師が薄毛の進行状況を共通の基準で確認するための指標として活用されている。

一方で、この分類は欧米人の脱毛パターンをもとに作られているため、アジア人にはそのまま当てはまりにくいケースもある。日本では、日本人や女性の脱毛傾向に合わせて調整された「高島分類」が使われることも多い。高島分類は日本の皮膚科医である高島巌氏が作成したもので、頭頂部から薄毛が進みやすい「IIvertex」の型が加えられている点が特徴である。

以下に、ハミルトン・ノーウッド分類の各段階の特徴をまとめる。

分類症状
Ⅰ型AGAの初期段階であり、生え際がわずかに後退しているものの、外見上の変化はまだ目立ちにくい。
Ⅱ型Ⅰ型よりも生え際の後退が進み、薄毛の変化が少しずつ見え始めた段階である。
Ⅱ型 vertexⅡ型の状態に加え、頭頂部にもO字型の薄毛が出始めた段階である。
Ⅱa型Ⅱ型より前頭部全体の薄毛が進み、生え際の後退がより明確になった状態である。
Ⅲ型生え際の後退がさらに進み、M字型がはっきりし、全体の毛量低下も感じやすくなる段階である。
Ⅲ型 vertexⅢ型に加えて頭頂部のO字型の薄毛も進行し、頭皮の見え方が目立ち始める。
Ⅲa型前頭部全体の生え際が後退し、M字型ではなくU字型に近い形で進行していく。
Ⅳ型生え際の後退と頭頂部のO字型の薄毛が、どちらも確認できる段階である。
Ⅳa型Ⅲa型より前頭部の薄毛がさらに進み、M字の中央部分まで薄くなってくる。
Ⅴ型生え際の後退がより進行し、頭頂部では地肌の露出がはっきりしてくる段階である。
Ⅴa型Ⅳa型より前頭部の薄毛が進み、頭頂部の毛量低下も見られるようになる。
Ⅵ型生え際から頭頂部にかけて薄毛がつながり、広い範囲で頭皮が露出した状態である。
Ⅶ型薄毛が頭頂部の後方まで広がり、後頭部や側頭部にわずかに毛髪が残る段階である。

AGAは進行性の脱毛症であるため、現在どの段階にあるのかを客観的に把握しておくことが大切である。

※参考:国民生活センター「AGA 治療、植毛」
※参考:日本皮膚科学会「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン 2017年版」

AGAの進行に伴う代表的な脱毛パターン

AGAが進行すると、生え際や頭頂部を中心に、一定の特徴をもった薄毛の出方がみられる。こうした形はアルファベットになぞらえて、一般にM字型・O字型・U字型の3つに分けられている。それぞれがハミルトン・ノーウッド分類の進行段階と対応しており、薄毛の進行状況を整理するうえで参考になる区分である。

M字型(Ⅰ型〜Ⅴ型)

M字型は、額の両側の生え際が後退し、おでこが広くなったようにみえるのが特徴である。AGAの初期にあたるⅠ型からⅡ型の段階でみられやすく、よく知られた脱毛パターンのひとつとされている。前髪を上げたときに、こめかみ付近の頭皮がM字状にみえることが、外見上のわかりやすいサインといえるだろう。

この部位は鏡で確認しやすいため、自分でも変化に気づきやすい。一方で、生え際の形にはもともとの個人差があるため、M字にみえるからといって一律にAGAと判断できるわけではない。生まれつき額が広い人もいるため、判断に迷う場合は過去の写真と見比べて変化を確認することが望ましい。

O字型(Ⅱ型vertex〜Ⅳ型)

O字型は、頭頂部を上からみたときに、円を描くように地肌が目立ってくるタイプである。ハミルトン・ノーウッド分類では、Ⅱ型vertexやⅢ型vertex、さらにⅣ型以降でみられやすいとされている。つむじの周辺から徐々に薄くなり、頭頂部の毛量が減っていくようにみえる点が特徴だ。

頭頂部は自分の目では直接確認しにくいため、家族や理美容師から指摘されて初めて気づくというケースも珍しくない。変化を見逃さないためには、スマートフォンのカメラや合わせ鏡などを使って、定期的に頭頂部の状態を記録しておくとよいだろう。

U字型(Ⅳa型〜Ⅶ型)

U字型は、M字型のように額の両端だけが後退するのではなく、額全体の生え際が後方へ下がっていくのが特徴である。多くの場合、頭頂部のO字型の薄毛も重なりながら進行し、前頭部から頭頂部にかけて広い範囲で脱毛が目立つようになるとされている。そのため、分類上でも比較的進行した段階に位置づけられている。

U字型がみられる頃には、薄毛がかなり進んでいるケースが多く、見た目の変化も大きくなりやすい。

自己判断で様子をみ続けてしまうと、治療による改善を目指せる範囲が限られてくる可能性もあるため、早めに医師へ相談してほしい。

※参考:KOMPAS – 慶應義塾大学病院 医療・健康情報サイト「脱毛症」

AGAの脱毛パターンと治療薬の関係

AGAの治療では、薄毛が出ている部位によって基本方針が大きく変わるわけではないと考えられている。M字型・O字型・U字型のいずれも、DHT(ジヒドロテストステロン)という共通の要因が関与しているとされているためである。脱毛の現れ方に違いがあっても、治療の考え方そのものは共通している。

DHTは、男性ホルモンのテストステロンが5αリダクターゼという酵素の働きを受けることで生じると考えられている。このDHTが毛乳頭細胞にある男性ホルモン受容体と結びつくと、ヘアサイクルが乱れ、髪が十分に成長しないまま抜けやすくなるとされている。そのため、AGA治療では5αリダクターゼの働きを抑え、DHTの産生を減らす治療薬が中心となっている。

代表的な治療薬は、以下のとおりである。

フィナステリド

5αリダクターゼⅡ型を阻害する内服薬とされている。

デュタステリド

5αリダクターゼⅠ型とⅡ型の両方を阻害する内服薬とされている。

ミノキシジル

血流を促し、毛包に栄養が届きやすい状態を整えることで発毛を促すと考えられている薬。

どの治療薬が適しているかは、頭皮の状態や体質、副作用の出やすさなどによって異なる。

おすすめのAGA治療薬について詳しくはこちら

※参考:医薬品医療機器総合機構(PMDA)「プロペシア錠〈フィナステリド〉添付文書 2023年8月改訂(第4版)」
※参考:医薬品医療機器総合機構(PMDA)「デュタステリド錠0.5mg添付文書 2023年6月改訂(第1版)」
※参考:シオノケミカル株式会社「壮年性脱毛症における発毛剤ミノキシジルローション5%「JG」」(PMDA一般用医薬品情報)

AGA治療でハミルトン・ノーウッド分類が果たす役割

ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行度を客観的に把握し、診療の場で共有するための指標として用いられている。治療方針を検討するうえでは、まず現在どの段階にあるのかを確認することが出発点となる。分類という共通の基準があることで、医師と患者のあいだで治療の目標や見通しを共有しやすくなると考えられる。

AGAは進行性の脱毛症であり、何もしなくても自然に改善することは基本的に期待しにくいとされている。

また、短期間で一気に脱毛が進むというより、少しずつ進行するため、本人が異変に気づいた時点ですでにⅢ型からⅣ型まで進んでいるケースも少なくない。とくに、頭頂部から薄くなるvertexタイプは自分で気づきにくく、発見が遅れやすい傾向があるといえるだろう。

日頃のヘアケアの際には、前頭部と頭頂部の状態を意識して確認しておくことが望ましい。毛量の減少や髪の細り、抜け毛の増加といった変化を感じた段階で早めに受診すれば、進行を抑えられる可能性が高まると考えられている。

AGA発症の主なサイン(セルフチェック項目)

AGAの進行度はハミルトン・ノーウッド分類によって確認できるが、発症初期の変化は見た目だけに限られるものではない。分類で段階がはっきりする前から現れるサインもあるとされているため、以下のポイントにも注意を向けてほしい。

抜け毛が増えてきた

ハミルトン・ノーウッド分類で変化が明確になる前の段階でも、抜け毛の量が先に増えるというケースは珍しくない。これは、AGAの影響によってヘアサイクルが乱れ始めている兆候の一つと考えられている。この段階で対策を取らないままにすると、徐々に毛量が減少し、やがて外見にも変化が表れてくる可能性がある。

シャンプー時に排水口へたまる髪の量や、枕につく抜け毛が増えたと感じた場合は、早い段階で医師へ相談するとよいだろう。

家族に薄毛の人がいる

AGAの発症には遺伝も関与していると考えられている。DHTの生成に関わる5αリダクターゼの働きは優性遺伝の影響を受けるとされ、さらに男性ホルモン受容体の感受性は母方のX染色体を通じて受け継がれる傾向があると報告されている。

そのため、家族に薄毛の人がいる場合、AGAの発症リスクがやや高くなる可能性があるとされている。

ただし、家族に該当者がいるからといって必ず発症するわけではなく、あくまで一つの要因にすぎない。気になる場合は、医療機関で相談するとよいだろう。

髪が細くなってきた

髪を洗うときや整えるときに、以前よりも一本一本が細く感じられる場合も注意が必要である。DHTの影響によってヘアサイクルが乱れると、十分に成長する前に抜ける毛が増え、結果として細い髪が多くなる傾向があると考えられている。

こうした変化が進むと、「ボリュームが出にくい」「スタイリングが決まりにくい」といった違和感につながることがある。また、分け目の地肌が目立ちやすくなるといった変化も、初期のサインとして意識しておいてほしい。

AGAの進行度が気になったら受診しよう

本記事では、AGAの進行度を把握するためのハミルトン・ノーウッド分類と、代表的な脱毛パターンの特徴について解説した。

ハミルトン・ノーウッド分類は、AGAの進行状況を13段階で整理した国際的な基準である。脱毛の出方はM字型・O字型・U字型の3つに分けられ、それぞれ分類上の進行段階と一定の関係がある。AGA治療で用いられる薬は、DHTの産生を抑えることを主な目的としているため、薄毛が起きている部位によって治療の基本方針が大きく変わるわけではない。

また、抜け毛の増加や髪の細り、家族歴といった、見た目以外の変化にも目を向けておきたい。

AGAは進行性の脱毛症であり、完全に進行を止めるのは簡単ではないとされている。ただし、早い段階で対応することで、進行を抑えられる可能性はある。

気になる症状がある場合は自己判断で済ませず、まずは医師に相談することが大切である。

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ハミルトン・ノーウッド分類に関するよくある質問

ハミルトン・ノーウッド分類は女性の薄毛にも使えるのか

ハミルトン・ノーウッド分類は男性型脱毛症の進行パターンをもとに作られている指標であり、女性の薄毛にはそのまま当てはまりにくいとされている。女性の薄毛評価には、別途ルードウィグ分類などが用いられることが多いと考えられている。

※参考:国民生活センター「AGA 治療、植毛」

自分で自分の進行段階を確認する方法はあるのか

鏡で前頭部を確認するほか、スマートフォンで頭頂部を撮影することで、ある程度の目安をつけることはできる。ただし、正確な進行段階の判断や治療方針の決定は医師の診察が前提となるため、気になる変化があれば受診してほしい。

Ⅲ型以降まで進んでしまった場合、治療は間に合わないのか

一概に間に合わないとはいえない。AGA治療は進行を抑えることを目的の一つとしているため、段階が進んだ後でも治療によって現状維持や一定の改善が期待できるケースはあるとされている。具体的な見通しについては医師に相談するとよいだろう。

この記事を書いた人

『日本メディカルスキルアップ』は、2009年から、開業医・勤務医・研修医の先生方を対象に、明日の診療にすぐ役立つセミナー(講習会・研修会)を対面およびオンラインで企画・運営してきました。本メディアでは、その経験をいかし、近年注目を集める「オンライン診療」、とくにAGA(男性型脱毛症)治療のオンライン診療に関する最新情報から基礎知識、クリニック選びのポイントまでを、わかりやすくお届けしています。

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